前向きの憂鬱

京都在住。ふとした激動を大事に。観光シーズンには観光地の紹介もします。

バイトをやめた

 四月、私はラブホテルの清掃を始めた。そこの人たちはお互いが思いやり、助け合い、みんなが人のことを見ていた。面接を済ませ、初めてのバイト。思ったほど難しくもなく、適当に流してもある程度のことはできる。始めは天職だと思っていた。

 しかし、一つだけ気がかりなことがあった。それは社員のTさんと会話したところである。これは一部だが、

「君に関しては何も心配していない。アルバイトは宝からだと思っているし能力の高い君を失うのは惜しい。だからやめるのだけはやめてくれ。」

「もう一つのバイトも辞めればここのシフトを確保するし、できればやめてもらうことも考慮してほしい。」

最初は自分の立場が保証されていると思っていた。しかし自分のことをそれなりにも評価してくれていると感じると同時にその会話には表面的なものしか感じず、違和感を覚えた。

仕事に順応し始めた5月、バイト内で何かがおかしいと違和感を覚え始めた。それは明らかにTさんがメイキングの人たち(自分よりも年上)と会話していないことであった。業務の会話はきちんと行っているが、肝心のシフトの会話や根本的な人としての会話が行われていない。シフトを見ても勝手に希望日以外のシフトを入れたり、一方的に指示を出したり、何かから逃げているようなそぶりを見せていた。そして五月の後半ごろ、Yさんが「ビジネスホテルでバイトを始めたからシフトを減らす。」といったことにも違和感を覚え、Tさんと何らかの関連性があると思った。

 そして六月、Tさんからよびだしをくらい、「シフトを増やせないか?」といってきた。この時誰が辞めるのかを聞いたが、その名前にはYさんをはじめ三人も上がっていた。違和感はどんどんと濃くなっていく一方である。そして僕はこのころ、年上の同じ時期に入ったDさんと仲良くなった。Dさんは僕に心を開いてくれたため、徐々に態度が僕の違和感と同じものになっていた。「この人はいつかやめる。」と直感で思った。

そして七月、人がどんどんとやめていく中で僕はDさんから様々な話を聞いた。その話ですべての点が線になってつながったと同時に、絶望と憎悪が沸き上がり、この職場に未来はないと思った。